Obstacles


 Grand Nationalは通常のChase Courseとは異なる特殊なコース、National Courseを使用します。このコースはAintree競馬場のみに設置されています。コース自体は平坦な三角形に近い形状であり、1周2m2fです。このコースを用いるのは年に5回のみ、11月もしくは12月に行われるBecher ChaseとGrand Sefton Chase、及びGrand National Meetingに行われるTopham ChaseとFox Hunters' Chase、そしてこのGrand Nationalです。Grand Nationalはその中でも唯一National Courseを2周します。

 National Courseにおける障害(National Fence)は比較的柔軟な素材で出来たFenceに最低14 inches(約35cm)の高さでトウヒの枝が積み重なっています。馬はトウヒの枝の部分を搔き分けて飛越することが可能になっています。

 

【Aintree競馬場公式コース見取り図】

Course Map

 

【参考映像】

2018 Grand National (Tiger Roll)(駄文

2017 Grand National (One For Arthur)

2016 Grand National (Rule The World)

2015 Grand National (Many Clouds)(Jockey Camera

2014 Grand National (Pineau De Re)

 

【障害】

・Fence 1st and 17th (高さ 4ft 6in = 137cm)

スタート直後にある障害。高さとしてはWaterを除き最低ですが、第一障害ともあってスピードも出ており、かつ馬群も密集しているため落馬を引き起こしやすいことで知られています。なお英国のブックメーカーでは全馬が第一障害を突破できるかというBettingも行っています。

・Fence 2nd and 18th (高さ 4ft 7in = 139.7cm)

かつてはThe Fanとも呼ばれていた障害です。

・Fence 3rd and 19th (高さ 5ft = 152cm、障害の前に 7ft = 213cmの空壕) - Open Ditch

この障害のように、障害の前に空壕が存在する障害は一般的にOpen Ditchと呼ばれています。通常の障害に比べよりスピードを持って飛越する必要があり、難易度は高くなっています。通常のChase Courseにも同様に空壕が設置されている障害が存在します。

・Fence 4th and 20th (高さ 4ft 10in =147cm)

3rdと異なり空壕は存在しません。なお第20障害は2011年にGrand Nationalの歴史上初めて迂回された障害として有名です。

・Fence 5th and 21th (高さ 5ft = 152cm)

Becher's Brookの前の障害としてアナウンスされます。この障害自体も非常に高く、難易度が高い障害です。

・Fence 6th and 22th (高さ 4ft 10in = 147cm、着地側が 15~20cmほど飛越側よりも低い) - Becher's Brook

Grand Nationalの数ある障害の中でも最も難易度が高いとされる障害です。着地側が飛越側よりも低くなっているため着地時に人馬がバランスをとるのが非常に難しく、毎年数多くの落馬を引き起こします。なおこの障害は1839年にMartin Becher大佐の騎乗した馬がこの障害(当時は小川だったらしい)にて落馬したことから名づけられています。障害の着地側は水路となっていますが、写真の通り蓋がされています。

・Fence 7th and 23th (高さ 4ft 6in = 137cm) - Foinavon

障害としてはWaterを除いてNational Course最低の高さであるものの、コーナーの途中に設置されているため難易度の高い障害となっています。この障害は1967年のGrand national勝ち馬Foinavonにちなんで名づけられました。これは1967年のGrand Nationalにおいて、先頭を走っていた空馬(Popham Down)がこの障害の前で立ち往生し、先頭集団を含めほとんどの馬がこの障害の前で大渋滞とそれに続く多重落馬を起こしました。これに対して集団のはるか後 方を走っていた人気薄のFoinavonだけがこの渋滞を回避して飛越することができ、このアドバンテージを生かして見事勝利したというエピソードです。

・Fence 8th and 24th (高さ 5ft = 152cm) - Canal Turn

National Courseの中でも有名な障害の1つ。障害としての高さはもちろんのこと、障害の直後に直角のカーブが設置されている障害です。 そのため馬群が内に密集し やすく、多重落馬のリスクが非常に高くなっています。なおCheltenham競馬場のCross Country Courseにはこの障害のレプリカが存在します。

・Fence 9th and 25th (高さ 5ft = 152cm、障害の後に 5ft 6in =167cm の空壕あり) - Valentine's Brook

National Courseの中でも有名な障害の1つ。障害の後に空壕が設けられており、飛越の高さはもちろんのこと、飛越の幅が求められる障害となっています。Becher's Brookの水路は蓋がしてありますが、Valentine's Brookの水路はむき出しになっているようです。写真の通り、非常に幅の狭い水路ですが。

・Fence 10th and 26th (高さ 5ft = 152cm)

高さとしては最高レベルであるものの特に空壕などは設けられていません。このように何も付属物のない障害はPlain Fenceと呼ばれています

・Fence 11th and 27th (高さ 5ft = 152cm、飛越側に6ft = 183cmの空壕) - Open Ditch

飛越側に空壕が設けられた障害。

・Fence 12th and 28th (高さ 5ft = 152cm、着地側に5ft6in =167cm の空壕)- Ditch 

先ほどの障害とは逆に、着地側に空壕が設けられた障害。写真がしょぼくなったのはCourse Walkがこの辺りで終了したせい。

 ・Fence 13th and 29th (高さ 4ft 7in = 140cm)

Plain Fence。この障害での落馬は比較的少ないといわれています。

・Fence 14th and 30th (高さ 4ft 6in = 137cm)

これもPlain Fenceです。高さもWaterを除き最低。2周目では最終障害となるため、疲弊した馬が完走を目指して飛越を試みた結果しばしば落馬しますが、死亡事故はここまで起きていないようです。2周目では次の2つの障害(The Chair、Water)は迂回してゴールに向かいます。

・Fence 15th (高さ 5ft 2in = 157cm、飛越側に幅 6ft = 183cmの空壕) - The Chair

高さとしてはNational Course最大のもの。かつ飛越側に巨大な空壕を持ちます。1862年にGrand National史上唯一の騎手の死亡事故を起こした障害です。スタンド前に存在するためひときわ飛越時の盛り上がりも大きくなります。

・Fence 16th (高さ 2ft 6in = 76cm、着地側に 9ft 7in = 292cmの水壕あり)- Water Jump

高さとしては他と比べて非常に低いものの、着地側に巨大な水壕が存在する障害。落馬事故はほとんどありませんが、スピードをもって飛越する必要があります。

 

注1. 障害の迂回

Grand NationalはNational Courseを2周するため、1周目の障害で事故があり再度の飛越が危険と判断された場合はフラッグが振られ、該当する障害を迂回することになっています。外ラチと障害の間にはある程度の間隙があり、障害を迂回することができるように配慮されています。そのほか日照不足、障害地点の馬場の悪化、障害の損傷などが迂回する理由として挙げられます。